瓦屋根の葺き替え費用はどれくらいかかるの?瓦屋根についてプロが徹底解説
2021/11/30
大切な屋根に雨漏りが起きると家と生活に及ぼす影響も大きいです。
大きなトラブルを未然に防ぐには、日頃から屋根に不具合や雨漏りが起きていないかの確認や修理を重ねていくことが重要となります。
普段の生活で屋根の確認やメンテナンスはもちろん大切です。
しかし、屋根にも寿命があるため、部分的な修理やメンテナンスを繰り返すよりも新しく施工した方が得策となるケースも多くあります。
ここでは、瓦屋根の葺き替え工事と工事費用の目安をご紹介しますので、ぜひ参考にしてみてください。
瓦屋根とはどんなもの?
瓦屋根の葺き替え工事について紹介する前に、瓦屋根の構造について昔ながらの日本瓦を例にして簡単に解説します。
まず瓦屋根とは、屋根本体の上に屋根を雨や雪から守る防水層を貼り、その上に瓦が葺いてある状態です。
瓦屋根でも日本瓦の場合は土葺きともいわれる湿式工法と、乾式工法の2種類の施工方法があります。
湿式工法と乾式工法について説明します。
①湿式工法(土葺き)
湿式工法とは野地板と呼ばれる屋根材の上に杉皮など木の幹からはいだ皮を敷き、木の皮の上に土を盛って瓦を葺く施工です。
古くからある伝統的な施工方法です。
中部地方よりも西で多く見られ、特に20年以上前に施工された屋根に多いです。
②乾式工法
乾式工法とは防水シートなどの上に瓦を固定するための瓦桟木を取り付け、瓦桟木の上に瓦を葺く施工方法です。
日本瓦を使用した瓦屋根の施工方法は以上の2種類があげられます。
瓦屋根の葺き替えってどんなことをするの?
瓦屋根の葺き替え工事において、瓦のみを葺き替えるといったことはありません。
湿式工法では葺き土、乾式工法では桟木や防水シートなどを瓦の取り替えと同時に取り替えることになります。
葺き替え工事とよく比較される「葺き直し工事」についても、瓦は再利用しますがその下の防水シートや野地板はしっかり交換・修繕を行います。
「下地部分まで点検する必要があるの?」と思われる方もいらっしゃると思います。
一般的に下地部分は瓦材よりも先に劣化してしまうため、瓦の葺き替えと同時に下地部分の点検も行います。
今まで使っていた瓦を撤去し、新しい瓦を葺くだけでもかなりの手間になります。
そのため下地部分もあわせて新調した方が後々かかる施工費用を考えるとお得です。
また瓦の葺き替えに限らず、屋根の修繕工事は今ある屋根材を一度剥がしてみないと、下地部分の劣化具合がわからないこともあります。
もちろん、現地調査を行う段階でできる限りの現状把握は行いますが、工事をしていく中で思わぬ事態になっていたというケースもありえるのです。
下地部分を確認せず実は劣化が進んでいたという事態を避けるために、既存の屋根材をめくり目で見て屋根を点検します。
点検後、劣化が見つかれば該当箇所を修繕、もしくは交換し、その上から新しい屋根材を葺いていくのです。
瓦屋根の葺き替え時期の目安はいつ?
瓦屋根に使われる瓦は頑丈ですが、寿命があります。
昔ながらの日本瓦の耐用年数は50~60年です。
もちろん台風や地震など何らかのアクシデントで瓦が損傷していまい、耐用年数を待たずして交換するといったケースも無い訳ではありません。
しかし、耐用年数からわかるように瓦自体は大きく損傷しなければ寿命が長い屋根材なのです。
釉薬という薬が塗られていない素焼き瓦は、日本瓦より少し寿命が短く40~50年程度の耐用年数です。
またセメント瓦などの場合は約20年が寿命といわれています。
瓦屋根の葺き替え施工費用は?
瓦屋根を葺き替える際には大きく分けて4項目の費用がそれぞれ発生します。
・屋根本体工事費用
・野地板や防水シートなどの下地補修費用
・既存瓦撤去処分費用
・足場工事費用
上記の中でも「屋根本体工事」に必要な費用は新しく葺く屋根材の種類によって異なります。
屋根材の種類やメーカーによって費用はさまざまですが、下記がそれぞれの屋根材の費用目安となっています。
セメント瓦 5,000~10,000円/㎡
日本瓦/洋瓦 10,000~15,000円/㎡
スレート 5,000~7,000円/㎡
ガルバリウム銅板 6,500~8,000円/㎡
次に各工事にかかる費用の目安を見ていきましょう。
足場工事(養生費用含む) 600~1,000円/㎡
既存瓦撤去処分 2,500~3,000円/㎡
野地板増し貼り 2,000~2,500円/㎡
防水シート 500~1,000円/㎡
棟瓦 5,000~6,000円/㎡
軒先板金 1,500円/m
ケラバ役物 2,500~4,000円/m
日本瓦から日本瓦へ葺き替えた場合
具体的に「日本瓦から日本瓦へ葺き替えた場合」を例にとって見ていきます。
瓦を葺く施工費用が㎡あたりおよそ10,000~15,000円程度、さらに今ある瓦の撤去処分、野地板の補修や桟木の設置、防水層の施工といった工事も必要となります。
屋根を葺く材料や工法を変える場合には高さの調整をする場合もあるでしょう。
さらに屋根の葺き替え工事には必須な足場の設置費用もかかります。
元からある日本瓦を新しい日本瓦にかえる時、日本の一般的な戸建住宅で2階建て、屋根の形が切妻屋根、屋根の面積が100㎡であれば、瓦屋根を葺き替える際の平均相場は130万~200万円となります。
ご紹介した価格は平均相場となるため、家の規模や現在の屋根の劣化具合、敷地や道路の状況によって施工費用は変化します。
また、新しく葺く瓦にもっと安価な瓦を選べば価格を安く抑えることもできますが、耐久性が落ちる場合もあるので注意しましょう。