スレート(カラーベスト、コロニアル)のメリットやデメリット、メンテナンス方法をご紹介
2023/07/21
みなさんのお家はどのような屋根でしょうか?
写真のような屋根をよく見たことがある、ご自宅もこの屋根だという方も多いのではないでしょうか?
こちらの屋根はスレート屋根といい、日本で非常によく見られる屋根です。
今回はこのスレート屋根のメリットやデメリット、メンテナンス方法などをご紹介します。
スレート屋根とは?
スレートは、主な素材であるセメントに繊維質やけい酸質原料などを混ぜて加圧して固めた5mmほどの薄い板状の屋根材です。
JISでは「住宅屋根用化粧スレート」という名称で登録されています。
本来「スレート」とは石(粘板岩)を指す言葉で、ヨーロッパなどでは古くから天然の建築材料として使用されてきました。
こちらの天然石を使用したスレートは日本では「天然スレート」と呼ばれており、高価なこともあってあまり使用されていません。
日本で普及しているスレートは前述のセメントを主材として表面に塗装をした「化粧スレート」です。
この化粧スレートは昭和36年に久保田鉄工株式会社(現ケイミュー株式会社)が販売を開始し、特に住宅不足であった1980年から90年代の高度経済成長期に安価で工場で大量生産が行なえるスレート屋根が大流行しました。
スレート、カラーベスト、コロニアルはどう違うの?
人や地域によって「カラーベスト」や「コロニアル」などと呼ばれますが、基本的に同じものを指します。
スレートを日本で初めて販売し、現在も生産・販売している大手建材メーカーのケイミューが販売するスレートの総称が「COLORBEST(カラーベスト)」で、メジャーでシェアが大きいため屋根材の名称のように認識されています。
その「カラーベスト」の中で最も売れているのが「コロニアル」シリーズでこちらは商品名となります。
つまり「スレート」は屋根材の名称で、「カラーベスト」はケイミュー社の販売するスレートの総称、そして「コロニアル」はカラーベストの中の商品名ということになり、すべて同じ屋根材を指しています。
▷参考サイト:COLORBEST|屋根材|外壁材・屋根材・雨といのケイミュー
スレート屋根は製造時期で耐久性が異なります
スレートが生産販売されていた当時は、多くの建材に耐久性の向上のためにアスベストが含有されていました。
しかしアスベストによる健康被害が指摘されはじめると、アスベストの使用が控えられたり規制され、そのことより耐久性に変化が出てきます。
第一世代(~1990年前半頃の製造)
アスベストが規制される前に製造されたスレート屋根で、アスベストを含むため高い耐久性を持っています。
割れにくく、さらに耐用年数も35~40年と長くなっています。
アスベストを含むため処分に費用がかかります。
第二世代(1990年後半~2000年中頃の製造)
アスベストの健康被害が指摘されはじめると、1990年代後半から企業はアスベストを使用しないスレート屋根の開発をはじめました。
しかしアスベストに代わる十分な耐久性をもたないものが多く、この時期に発売されたノンアスベストと呼ばれるスレート屋根は耐久性に問題を抱える製品が多く、製品によっては築8~10年で劣化してしまうものもあります。
耐用年数も15年から25年と長くはありません。
パミールやレサス、コロニアルNEOなどが該当しますが、社会問題になったものや現在では生産中止なったものもあります。
第三世代(2000年後半以降)
同じくアスベストは含まれていませんが、第二世代で頻発した不良品問題を改良した製品のため、第二世代よりも耐久性が向上しています。
耐用年数は約25年前後です。
コロニアルクァッドやコロニアルグラッサといった製品が該当します。
アスベストを含むスレート屋根について詳しくは下記をご覧下さい。
アスベストを含むスレート屋根はリフォームできるの?見分け方とリフォームの方法について
スレート屋根のメリットは?
種類が多い
スレート屋根のメリットはその種類の多さです。
色やデザイン、遮熱性のあるものなど様々な種類が発売されているため、好きなデザインや機能を選ぶことができます。
価格が比較的安い
スレートは施工価格が1㎡あたり4,000円〜5,000円程度となっており、瓦屋根などよりは安い点もあげられます。
立平葺きと同じくらいの価格です。
遮熱性
遮熱性のある製品を選択すると遮熱効果が期待できます。
断熱材のついていない立平葺きのガルバリウム鋼板などよりは断熱性が高くなっています。
施工できる業者が多い
瓦は瓦葺工が主に施工し、ガルバリウム鋼板やトタンなどの金属屋根は板金工が施工しますが、スレートは施工が簡単なこともあってどの屋根業者でも扱うことができます。
比較的軽量
瓦屋根などと比べると、瓦の約半分の重さのため、比較的軽量な屋根材です。
スレート屋根のデメリットは?
割れやすく苔やカビが生えやすい
スレート屋根は約5mmという薄さもあって割れやすく、築8年~10程度でひび割れが発生してきます。ひび割れが裏まで回ると下に雨水が入り込み、シール性の低いルーフィングを使用している場合、雨漏りしてしまうことも珍しくありません。
またセメント素材のため表面に凹凸があるので水が溜まりやすく、特に北面ではカビや苔が生えやすい屋根材です。
水に弱く定期的な塗装が必要
スレートの主な成分はセメントで吸水性が高く、新築時には塗装で防水機能を付与しています。塗装が経年劣化して防水機能がなくなると水を含む吸水と乾燥を繰り返すことでひび割れなど変形を起こします。そのため定期的な塗装によるメンテナンスが必要です。
瓦や断熱材付き屋根材より断熱性に劣る
スレート屋根は、瓦や断熱材付きのスーパーガルテクトなどの屋根材と比較すると断熱性は劣ります。
アスベスト含有のものは撤去費用がかかる
前述したように、アスベストを含むスレートは耐久性は高いものの、葺き替えなどの際にアスベストの撤去費用が別途必要で、その分工事費用が高価になってしまいます。
弊社ではアスベストの処分費用は、3tトラック1台で約10万程度(100平米分程)。アスベストのないスレートなら約半額の処分費用です。
スレート屋根のメンテナンスについて
スレート屋根は吸水性が高いため塗装によるメンテナンスが必要です。
中々屋根の異変には気が付かないものですが、目が届かない場所だからこそ多くの業者で実施している無料の屋根診断を利用した、定期的な点検をおすすめいたします。
皆さま訪問販売に声をかけられた、近隣が工事をしているのを見て気になった、パミールの屋根材が落ちているのを見たということがきっかけで弊社にお問合せをいただくことが多くあります。
そのような時に屋根が気になったとしても屋根に登るのは大変危険なので避けてください。
スレート屋根のリフォームについて
塗塗装を何度も行うよりも長い目で見るとカバー工法や葺き替えをしてしまった方がお得な場合も多くあります。
たとえば一回70万円の塗装を築10年で行ってまた12~15年後で行うと合計140万円かかってしまいます。
スレートの耐用年数から考慮するとすぐに耐用年数も近づいているため、また近いうちに屋根リフォームをするとさらにお金がかかってしまいます。
それよりも早めに耐久性の高い屋根材にリフォームすると何度も塗装する必要がなく、長い目で見るとお得になります。
スレート屋根リフォームの施工事例
ガルバリウム鋼板の施工実績をご紹介します。
築17年の屋根をスーパーガルテクトでカバー工法
現場住所 | 京都市南区 |
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施工内容 | スレート屋根カバー工法 |
使用屋根材1 | ニューライナールーフ |
使用屋根材2 | スーパーガルテクト |
こちらのお家は北側に面していたので苔やカビがたくさん生えている状態でした。
実際にひび割れなども見られる状態でした。このように屋根材の劣化が進んでいる場合には屋根塗装よりも屋根カバー工法などの方が適しています。
お客様のご希望で耐久性の高いルーフィングを使用し、屋根材には耐久性が高く断熱遮熱機能にも優れたスーパーガルテクトで仕上げました。
金属屋根は凹凸も少なく、吸水性が低いためコケやカビも生えにくい屋根材です。
結露対策のために換気棟も取り付けています。
スレート屋根の寿命は20年~25年ですので、築17年程度の場合には先のことを考えると塗装よりもカバー工法や葺き替えをした方が、長い目で見るとお得です。
こちらの施工実績の詳細は下記をご覧ください。
まとめ
種類が多く瓦屋根よりも安価なことによって日本に広く普及したスレート屋根ですが、製造された時期によってアスベストの有無があり、耐用年数も異なります。
特に1990年後半~2000年中頃に製造されたスレート屋根は劣化が早いものがあり、飛散して事故が発生した事例もあるため、こうした屋根には早めに対処されることをおすすめいたします。
定期的な塗装が必要ですが、場合によっては塗装よりもカバー工法などを行った方が長い目で見てお得な場合も多くあります。
お客様がどのくらい長くお住みなられたいかというご希望や、現在の屋根材の状態などから最適なプランをご提案いたします。
京都でのスレート屋根のリフォームをお考えの場合は、山口板金までお気軽にご相談ください。