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瓦屋根の点検とメンテナンスの必要性について。自分でできる5つの瓦チェック方法!

2020/12/30

瓦屋根の点検とメンテナンスの必要性について

日本の伝統的な屋根材である瓦。雨風に強く、耐久性に優れており、また隙間ができる構造から断熱性にも優れています。
ご自宅が瓦屋根という方も多いのではないでしょうか?
耐久性の高い瓦屋根ですがメンテナンスをなにもしないでいいわけではありません。
今回は、瓦屋根の点検とメンテナンスの必要性やご自分でできる瓦屋根のチェックポイントをご紹介いたします。

瓦屋根とは?

瓦は、高熱で焼きあげた陶器であるため耐久性があり、色あせをすることもほとんどないという特徴があります。
瓦1枚1枚は強く長持ちするので、屋根材そのものにはメンテナンスはほとんど必要ありません。
耐用年数は50〜60年と非常に長く、しっかりと屋根のメンテナンスを行えば長い時間家を守ってくれます。
デメリットとしては、強風や地震でずれやすいという点があります。
しかし今の新築ではルーフィングに瓦を釘打ちしているため昔のような瓦のずれによる雨漏りは起こりにくくなっています。
瓦屋根は重い屋根材であり、屋根の重量が重くなってその分建物の重心が高くなり、耐震性は劣ります。
他にも初期費用が高いという点もあげられます。

瓦屋根のメリットやデメリット、種類について詳しくは下記をご覧ください。

瓦屋根の施工方法

瓦屋根の施工方法には二種類あります。それぞれについてご紹介します。

①湿式工法(土葺き)

土葺き屋根

湿式工法は「土葺き」と呼ばれ、防水シートの代わりとして杉の皮を敷いてその上に大量の土を葺いて瓦を固定しています。
瓦には隙間があり、その隙間から流れてきた雨を土が吸って自然に乾燥する仕組みです。
この大量の土は重量があり、昔は耐風性を重視する傾向がありこのような工法が用いられていました。
瓦を載せているだけなので、経年劣化で土が流出して痩せてしまうと瓦のずれや落下、そして雨漏りが起こりやすくなっています。
1923年の関東大震災まで主に使用されており、特に20年以上前に施工された家に多く見られます。

②乾式工法

乾式工法

現在ではこちらの土を用いない「乾式工法」で施工されています。
乾式工法とは「引っ掛け桟工法」とも呼ばれ、土や杉皮の代わりに防水シートを張り、瓦を固定するための瓦桟木をとりつけて、その桟木に瓦を引っかけています。
防水シートによって防水性が高まり、桟木を敷くことで空間ができるため結露防止の効果もあります。
昔は瓦をひっかけているだけでしたが、近年の大地震の影響により瓦を釘で打ち付けて固定する工法が推奨されるようになり、最近の新築では釘されているため瓦のずれや落下は起こりにくくなっています。

瓦屋根の点検とメンテナンスの必要性について

近年、デザイン性が高くおしゃれな屋根の家が増えてきています。
その一方で瓦屋根を特徴とした日本家屋の家もここ京都ではまだまだ多く見られます。

耐久性のある瓦屋根ですが、長持ちさせるには定期的な点検とメンテナンスが欠かせません。
なぜなら、瓦自体が強くても瓦屋根は瓦のみではなく、漆喰や防水シートなど瓦よりも耐久性の低いもので構成されているからです。
また、もし台風などの強風で瓦がずれる、強風で飛んできた物に当たって瓦が割れてしまうなどした場合、その部分から水が入り、雨漏りが起こってしまいます。
もし瓦の問題点に気づいたら、すぐに屋根の点検と修理を業者に依頼するようにしましょう。

瓦のメンテナンスポイント

屋根の漆喰

屋根の漆喰

瓦同士をつなぎとめる役割を果たしているのが漆喰です。
瓦の寿命が長くても、年数を追うごとに経年劣化によって漆喰の質は落ちていきます。
漆喰の耐用年数は20年ともいわれていますが、施工した職人の腕によっても異なります。
漆喰は瓦と瓦をつなぎ、また雨や雪から家を守る防水の役目も務めています。
漆喰が劣化してしまうと、雨漏りを引き起こし、また屋根全体が崩れることもあります。
瓦や漆喰の劣化を原因とする屋根の損傷を引き起こさないために、屋根の定期的なメンテナンスが必要です。

防水シート(ルーフィング)

ルーフィング

乾式工法では瓦屋根の下には防水シートが施工されています。この防水シートは、瓦屋根の隙間から流れてきた水を排水して樋に流す役目をしています。
最終的に雨漏りから守っている非常に重要な下葺き材です。
防水シートの耐用年数は新築などで使用されるアスファルトルーフィングで10~15年、アスファルトルーフィングを改良した改質アスファルトルーフィングで20~30年のため、瓦よりも耐用年数が劣ります。
瓦自体が問題がなくても、防水シートの耐用年数が切れていると雨漏りを起こしやすくなります。
防水シートの交換には瓦を一度取り除く必要があるため、瓦自体に問題がなければ葺き直し工事や、瓦も劣化していれば葺き替え工事を行う必要があります。

瓦のずれや破損

瓦の劣化

葺き土に葺いた瓦屋根で多いのが地震による瓦のずれです。
瓦のずれを気づかずに放置しているとそこから雨水が入り込み、葺き土が水を吸収する量を超えてくると葺き土が流出して痩せてしまい、雨漏りの原因となります。
他にも強風による飛散物がぶつかることで瓦のひび割れなども発生します。

セメント瓦は塗装が必要

瓦にも、昔ながらの粘土瓦とセメントを混ぜたセメント瓦があります。
ご自宅の屋根瓦がセメント瓦の方は、瓦の塗装の確認も必要になってきます。
セメント瓦は粘土瓦と違い、塗装が施されていることが特徴です。塗装がはがれてしまうとそこから瓦の劣化が進んでしまいます。
ご自宅の瓦の種類もよく確認しておきましょう。
参考記事:セメント瓦の雨漏り原因とメンテナンスについて

瓦屋根のチェックポイント5つ

屋根の大掛かりな工事ほどの損傷も、普段から瓦屋根を定期的にチェックすることで防げます。
下記で紹介するのは、ご自身で屋根を確認してできるチェック項目です。
ぜひ参考にしてみてください。(屋根の上には危険なので登らないようにしてください)

①瓦のチェック

ヒビや割れ、欠けている部分が瓦にないかチェックしましょう。
瓦は上部な屋根材ですが、台風など強風の影響で、風に物が飛ばされて屋根やアンテナにぶつかって倒れ、瓦の割れやヒビが起こってしまうことがあります。
地震が起こると揺れの影響で瓦にヒビが入ってしまったり、クギが浮いたりする場合もあります。
また、瓦にコケが生えている場合は水が入っている可能性があります。コケにも要注意です。

②瓦のずれ・外れのチェック

瓦にヒビ・割れがなくても、地震や台風の後には瓦自体の位置がずれてしまうことがあります。
瓦のずれや外れの部分から雨が入り雨漏りが起こってしまいます。
瓦にずれや外れがある場合は、瓦が上から落下してくる恐れがあります。

③漆喰のチェック

漆喰は強風や地震などで崩れる場合と、劣化が原因ではがれや崩れが起こる場合があります。
漆喰が落ちているところを見つけるケースとしてよくある例が、家の周りに不自然な形をしたコンクリートの塊が落ちているというものです。
はがれ落ちた漆喰のようなものを見つけたら、業者に相談し一度確認してもらいましょう。

④棟瓦のチェック

屋根の上端部分の瓦である棟瓦。
棟瓦が少しでも歪んでいると時間とともにだんだん歪みが大きくなってしまい、最悪の場合、屋根が崩れてしまうこともあります。
屋根全体の歪みや崩れは棟瓦をまっすぐに保つことで防げます。
また棟瓦や屋根の瓦同士をつないでいる漆喰も、はがれやくずれがないか見ておくと良いでしょう。

⑤全体的な屋根のチェック

瓦自体に問題はなくても、全体的に瓦や屋根を見るとずれたり歪んだりしている場合もあります。
瓦のずれや歪みをチェックする方法として、屋根に問題がない時に屋根全体の写真を撮っておく方法があります。
屋根や瓦に違和感があった際、事前に撮影しておいた写真と実際の屋根を見比べるとずれや歪みを発見できることもあり、業者に相談する時にも説明しやすくなります。

上記で述べた屋根のチェックは日常的に見る習慣がついていることが望ましいです。
特に台風や強風など天気が荒れた後は屋根をよく見ておきましょう。
家の造りによっては2階の窓から1階部分の屋根を見ることもできるかと思います。
また近くに小高い丘など、ご自宅の屋根が高いところから確認できる場所からあればそこから屋根を見ることもできるでしょう。
しかし、屋根をチェックするためでも屋根の上に上がることだけはやめておきましょう。

台風の後は特に屋根に破損などが起きやすくなっています。
台風の後に屋根のチェックポイントについて下記にて詳しくご紹介しています。

瓦屋根の施工の実例

瓦屋根の劣化による施工の実例をご紹介します。

こちらは、天井から雨漏りしていたことがきっかけで屋根の調査の依頼をいただきました。
京都市南区にて瓦屋根の葺き替え工事既存屋根をすべて撤去し、新たに屋根下地を作っていきます 既存屋根をすべて撤去し、新たに屋根下地を作っていきます防水シートを敷き、屋根材を葺いたら完工となります 防水シートを敷き、屋根材を葺いたら完工となります

現場住所 京都市南区
施工内容 屋根葺き替え工事
使用屋根材 スーパーガルテクト

屋根を調査したところ、破損が激しく、瓦が多数割れてしまっている状態で、さらに下葺き材も劣化が進んでいました。
全体の劣化状態と、今後も長くお住まいになられるとのことで、屋根をスーパーガルテクトへと葺き替えています。
瓦屋根を撤去したあと胴縁を固定し、その上から新しい野地板を施工しています。

屋根の状態にはなかなか気が付きにくいものです。定期的な診断や点検を行い、劣化や不具合が見つかった場合には、早期に修理することが最善策です。

こちらの施工実績の詳細は下記をご覧ください。

外壁塗装の時などの一緒に屋根の点検を!

上の施工例でもご紹介したように、屋根の状態に気が付くのは難しいものです。
屋根の勾配がきつい場合は、下から見てご自分で以上に気が付かれてご連絡をいただくこともあります。
しかし普通の勾配の屋根では下から見てもなかなか細かいところまでは見えません。
特に漆喰などは注意してみないとなかなかわからないものです。
また屋根の点検もなかなか点検だけ頼むのは面倒という方も多いのではないでしょうか?
おすすめなのは、外壁塗装をされる際に一緒に屋根の点検もしてもらうことです。
多くの業者は屋根診断は無料で行ってますので、ついでに行うと手間もはぶけ、もしも一緒に工事を行うと足場を立てるのが一度で済むというメリットもあります。

瓦屋根の修理は専門業者に任せるのがおすすめ!

瓦屋根は瓦のずれやヒビ、割れといった瓦の問題点を目で見て確認することができます。
しかし、屋根に登ることはやめておきましょう。
屋根に登った際、瓦の破損や、屋根から転落して命に関わる大事故につながる恐れがあるからです。

実際に屋根に登る点検は屋根のプロに任せましょう。
屋根に登って行う作業はプロでも屋根から落ちそうになるくらい難しく危険な作業です。
屋根の場所によって、歩いても問題なく大丈夫な場所と足を乗せただけでも落ちてしまう危険な場所があるそうです。
瓦自体の特性についても熟知しておかなければなりません。

屋根に登って行う作業がプロにとっても難しく、瓦についての知識も必要であることを考えると、自分で屋根のチェックを行うのではなく、屋根のプロに任せることが1番良いです。
自分で行う屋根の点検もご自身で屋根には登らず、上記の修繕チェック項目を家の周りから目で確認することで十分できます。
屋根を見て違和感を覚えたら、プロに任せて屋根を見てもらいましょう。

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