京都市山科区にて既存瓦から新設立平葺き
2022/08/03
先日、京都市山科区にて既存瓦から新設立平葺きを行いました。
まずは既存瓦を撤去した状態の屋根の様子です。
屋根の上に土のような、粘土のようなものが大量に残っています。
これは、「葺き土(ふきど)」と呼ばれるもので、瓦を固定するために瓦の下に敷かれている粘土の一種です。
このように、土で瓦を固定する工法を「土葺き(つちぶき・どぶき)」と言い、昭和時代に造られた瓦屋根では多く見られる工法です。
昔は今ほど瓦の質が均一ではなく、綺麗に並べたり重ねたりするのは大変な作業でした。
そこで、粘性のある土を屋根に敷き詰め、その上に瓦を綺麗に並べることで屋根を造っていたのです。
土台が土なので釘などが使えない代わりに、土が乾く前であれば微調整がしやすい訳ですね。
しかし、この釘でしっかり固定できないというのがデメリットになってしまい、地震や台風などの際には瓦がズレたり、土が落ちるといった事態が起こりやすくなってしまいます。
近年、地震が多発している日本では建物の耐震性が重要視されていますが、瓦屋根、そしては土葺き工法は決して耐震性が良くないのです。
実際、関西では昔から地震の頻度が少なかったため、平成初期まで土葺き工法は使われていました。
しかし、1995年の阪神・淡路大震災で多数の瓦屋根の崩落被害があったため、関西でも土葺き工法は急速に減ったと言われています。
今回は、屋根のメンテナンスも兼ねて、この「葺き土(ふきど)」を全て撤去し、新しく金属屋根を葺いていきます。
こちらが葺き土をすべて撤去した状態です。
所々屋根下地にも劣化が見られますね。
土葺きの瓦屋根は瓦がズレやすく、瓦がズレることによってできた隙間から雨水が屋根内部へと入り込んでしまいます。
近年造られた屋根であればここに防水シートが敷かれていますが、防水シートより防水性の低い葺き土しかないため、どうしても屋根の内部まで水が侵入しやすくなっていた訳です。
今回は葺き土の代わりに防水シートを敷き、その上から金属屋根で立平葺きを行いました。
立平葺きは、写真のように屋根材を縦に敷いて屋根を葺いていく工法です。
金属屋根は表面に繋ぎ目がないため、棟の頂点から軒まで雨水の排水を遮るものがありません
そのため、排水性能が非常に高くなり、立平葺きは「雨漏りしにくい屋根」と言われています。
葺き土に瓦屋根という組み合わせから、防水シートに立平葺きの金属屋根という防水性に優れる屋根へと生まれ変わりました。
山口板金は、今回のような金属屋根を使用した板金工事を得意としております。
京都での金属屋根工事、そして立平葺きは山口板金にぜひお任せください!