京都の屋根板金職人が、ガルバリウム鋼板について徹底解説
2021/02/27
近年、屋根や外壁にガルバリウム鋼板を採用する方が多くなりました。
建材について詳しく調べている方であれば、一度は聞いたことがあるかと思います。
今回はガルバリウム鋼板について徹底解説するとともに、ガルバリウム鋼板をぜひおすすめしたい方の特徴も同時にお伝えします。
現在、新築住宅の屋根材や外壁材にお悩みの方や屋根や外壁をリフォームしたい方は必見です。
そもそも「ガルバリウム」とは?
「ガルバリウム」とは、亜鉛、アルミ、シリコンを組み合わせた合金のことです。
ガルバリウムに薄い金属で周りを覆った鉄(鋼板)の建材が「ガルバリウム鋼板」となります。
ガルバリウム鋼板の強みの1つとされるのがサビにくさです。
普通の鉄ではサビが進み、穴が開き、さらに広がってしまいます。
しかし、ガルバリウムに含まれる亜鉛の「防食作用」とアルミの「保護作用」によってガルバリウムが自分で穴を修復する「自己修復作用」を備えるようになりました。
亜鉛の防食作用とは、サビが原因で広がる穴を溶けた亜鉛がふさぐ作用のことを指します。
亜鉛は時間とともに溶けてなくなってしまい、防食作用も失われてしまいますが、アルミの持つ保護作用が、亜鉛が溶け出た穴を埋めてくれるのです。
亜鉛の防食作用とアルミによる保護作用のおかげで、ガルバリウムは自分でサビによる穴を防ぐ機能を持ち、ガルバリウム鋼板はサビにくくなりました。
1990年代に入ると、ガルバリウムもどんどん普及し、金属建材を扱う板金工にとってガルバリウム鋼板はなくてはならない存在となりました。
数あるガルバリウム鋼板の中から、最適なものをを選り抜くコツとは?
種類が多いガルバリウム鋼板ですが、選ぶコツは「断熱材一体型」になります。
ガルバリウム鋼板の中には「断熱材一体型」と「機能なしのシンプル型」があります。
断熱材一体型のガルバリウム鋼板とは、鋼板の裏に断熱材を貼ったものです。
音や熱を通しやすく、屋内でも外からの音が聞こえたり、寒くなることが金属建材の短所とされていますが、鋼板の裏に断熱材を貼ると短所を補ってくれます。
金属建材の弱い部分を補い、他の建材よりも優秀な建材になります。
機能なしのガルバリウム鋼板に対して断熱材一体型は機能がついている分、建材費が上がります。
断熱材一体型を屋根および外壁に使うと、一軒あたり30~40万円程度高くなるといったところでしょうか。
初期費用は高くなりますが、外から聞こえる騒音や夏の暑さ、冬の寒さの悩みが解消されるのであれば、決して高い買い物というわけではないでしょう。
建材の中で、ガルバリウム鋼板を検討中の方には断熱材一体型がおすすめです。
ガルバリウム鋼板をおすすめしたい方の特徴
ガルバリウム鋼板をぜひおすすめしたい方の特徴をお伝えします。
ガルバリウム鋼板の雰囲気、デザインが好きな方
ガルバリウム鋼板のデザインが好き!という方は、ガルバリウム鋼板一択に絞って屋根材や外壁材を選びましょう。
ガルバリウム鋼板独特の雰囲気はほかの外壁材ではなかなかできません。
家全体のデザインや雰囲気、バランス、また周囲の風景との調和を考えた上で、ガルバリウム鋼板の雰囲気がマッチするならば、ガルバリウム鋼板をおすすめします。
コスパの良さを求める方
屋根材や外壁材に費用対効果を考えるのであれば、ガルバリウム鋼板は優良な建材です。
ガルバリウム鋼板はサビにも強く、40年以上の耐久性が見込めるのがメリットと言えるでしょう。
建物において地震や台風などの災害や何らかの理由で屋根や外壁を補修、リフォームする機会は必ずやってきます。
リフォームや補修を行う際、建材がガルバリウム鋼板であればカバー工法も選択肢に入ります。
カバー工法は多種多様な施工方法において、費用が安く済む施工の1つ。
瓦屋根であればカバー工法は不可能な施工のため、ガルバリウム鋼板で良かったと思うはずです。
ただし、初期費用の面で考えると、他の建材に比べてガルバリウム鋼板は若干高めになります。
しかし、ガルバリウム鋼板はメンテナンス費用が他の建材に比べてあまりかかりません。
長い目で見た際、とてもコスパが良い建材といえます。
建物により強い耐震性や耐風性を求める方
建材が軽量であれば地震での揺れが少なくなります。
結果として、建物自体の揺れも小さくなり、屋内にある家具などの倒壊も防げます。
特に屋根は建物の一番上にあり、重量であればあるほど揺れはより大きくなってしまいます。
ガルバリウム鋼板は軽量なため、耐震性に優れた建材です。
また、屋根において耐風性に対して強化させる施工方法や商品があります。
耐風性に優れた施工方法とは、篏合式(かんごうしき)の横葺き屋根。
篏合式とは屋根の下地に鋼板を固定させることに加え、2つのガルバリウム鋼板が重なる部分をかみ合わせて張る構造です。
篏合式の横葺き屋根の施工方法であれば、屋根が強く固定されます。
並べた屋根材に単にクギを打つだけで済ます瓦やスレートに比べて、耐風性が抜群に良くなるのが特徴です。
海が近い海岸地域や周りに建物がないなど、風が強い地域は、風に強い屋根を意識して施工方法や商品を選ぶと良いですね。