各種屋根材を徹底比較!特徴や価格、耐用年数を屋根職人が解説します!
2021/05/04
屋根修理を行う際、葺き替え工事やカバー工法などどの工法を行うかを選択しますが、同時に新たに屋根材も選ばなくてはなりません。
しかし不慣れな屋根修理において、いきなり屋根材を選べと言われても迷われる方が多いのは当然です。
ここでは、各種屋根材の特徴や価格、耐用年数を解説していきます。
どんな屋根材があるのか知っておくだけでも、失敗しない屋根修理に大いに役立つと思いますので、ぜひご一読ください。
屋根修理で使う屋根材にはどんな種類があるの?
屋根材は近年販売されるようになった新素材のものまで含めると非常に多くの種類があります。
そのため、あまりに細かい種類に関してはまた別途解説させていただきますが、大きく分けると以下の7種類の屋根材に分類されます。
・粘土瓦
・セメント瓦
・化粧スレート
・天然スレート
・ガルバリウム鋼板
・アスファルトシングル
・トタン
それでは、各種材の特徴や価格相場、メリットやデメリットなどを詳しく見ていきましょう。
粘土瓦の特徴やメリット・デメリット
粘土瓦はその名の通り、粘土を焼いて作られた瓦であり、陶器と言った方が皆様にはわかりやすいかもしれません。
そのため、陶器瓦と呼ばれることもあります。
一般的に瓦と言えばこの粘土瓦を指し、ここ京都においては特によく見かける屋根材です。
粘土瓦のメリットとして、まずその耐用年数の長さが挙げられます。
20〜30年経過してもほとんど劣化が起こらず、断熱性や遮音性も高いので屋根材としては非常に優秀です。
また、瓦を固定させている漆喰などはメンテナンスが必要ですが、基本的にメンテナンスフリーで、金属屋根のように10〜15年ごとの塗装も不要です。
一方デメリットとして、その重さがあります。
一枚一枚が重いため、屋根全体としてはかなりの重量となってしまい、耐震性の面では決して良いとは言えません。
また、耐用年数が長くメンテナンスフリーのため、初期の工事費用が高くなります。
屋根修理における価格相場は、1㎡あたり10,000〜12,000円と屋根材の中で最も高額になります。
ただし、他の屋根材のように約20年程度で大掛かりなメンテナンスを行う必要が無いため、長い目で見ると瓦を選んだ方が屋根にかけるトータルコストでお得になる場合もあります。
粘土瓦は、初期費用は高くなっても耐久性を重視したいという方におすすめです。
セメント瓦の特徴やメリット・デメリット
セメント瓦は粘土瓦とは違ってセメントを素材として作られる屋根材です。
セメント以外にもコンクリートを素材としたコンクリート瓦というものもあり、モニエル瓦と呼ばれることもあります。
後述しますが、粘土瓦と比べてデメリットが多いため、近年ではあまり使用されなくなっている屋根材でもあります。
セメント瓦のメリットとして、粘土瓦より安価な上、断熱性や遮音性も高い点です。
そのため、安価で気軽に瓦のデザインと機能を取り入れることができます。
一方デメリットは、他の屋根材と比べると長いですが、粘土瓦と比べると耐用年数が短いです。
また、粘土瓦はメンテナンスフリーですが、セメント瓦には定期的な屋根塗装が必要となります。
さらに、粘土瓦のデメリットである重量はそのままです。
屋根修理における価格相場は、1㎡あたり5,000〜8,000円と粘土瓦と比べると安価ではあります。
しかし、耐用年数が30年と短く、定期的なメンテナンスも必要なので、あえてセメント瓦を選ぶメリットというのはあまりありません。
セメント瓦は、安価で粘土瓦のデザインを取り入れたい人向けの屋根材と言えますね。
化粧スレートの特徴やメリット・デメリット
化粧スレートは、セメントなどを素材として作られる板状になっている屋根材で、日本の住宅の屋根では非常に多く使われている屋根材です。
もちろん屋根修理でもよく使用されています。
シンプルにスレート屋根と呼ばれることもあり、コロニアルやカラーベストと呼ばれることもあります。
コロニアル、カラーベスト共にケイミュー株式会社が販売するスレート屋根材の商品名ですが、非常によく使用される屋根材ですのでそのままスレート屋根材の代名詞のようになっています。
化粧スレートのメリットは、やはりその工事価格の安さです。
瓦と比べても半分程度に工事費用を抑えることができ、瓦より軽いので耐震性にも優れます。
また、デザインや色が豊富なので、施主様からすると選ぶ楽しみもあります。
さらに、瓦屋根は専門の技術が必要となりますが、スレート屋根は施工性が高い(業者が施工しやすい)ため、対応している業者が多いのもメリットの一つとなります。
一方デメリットは、定期的なメンテナンスとして屋根塗装が必要となる点です。
また、瓦と違って台風など強風時には割れるといった被害が起こりやすいです。
そして、2004年以前に販売されたスレート屋根にはアスベストが含まれている可能性があります。
アスベストが含まれていると、いざ葺き替え工事を行う際には通常の既存屋根撤去費用に加え、アスベスト処分費用が必要となり、アスベストの処分は費用が高額です。
カバー工法で既存屋根を撤去せずに済ませる方法もありますが、悪いものにはフタをするといった状態になってしまうので、できれば撤去してしまった方が良いと言えるでしょう。
屋根修理における価格相場は、1㎡あたり5,000〜8,000円です。
メンテナンスが必要な点には注意が必要ですが、耐用年数は20年前後と比較的長く、耐用年数と工事価格のバランスが良い屋根材を選びたいという方にはおすすめの屋根材です。
天然スレートの特徴やメリット・デメリット
天然スレートは、セメントを素材として作られた化粧スレートと違い、岩石を素材として作られた屋根材です。
天然スレートのメリットは、化粧スレートでは出せない意匠性の高さです。
岩石など天然の石を素材として使っているため、独特の美しさがあるので、オリジナリティ・個性を出したい方にはおすすめです。
一方デメリットは、化粧スレートと比べると価格が高額になってしまう点です。
また、素材が岩石なので重量があり、軽量な化粧スレートより耐震性が低下します。
屋根修理における価格相場は、1㎡あたり10,000円と高額で、粘土瓦と大差ありません。
耐用年数は化粧スレートより長いものの20〜30年程度です。
同じスレート屋根を選ぶ場合では、工事価格や耐震性を優先したい方は化粧スレート、デザイン性や耐用年数を優先したい方は天然スレートがおすすめです。
ガルバリウム鋼板の特徴やメリット・デメリット
ガルバリウム鋼板は、アルミニウムや亜鉛などによってメッキ加工された鋼板の屋根材です。
非常に軽量なためカバー工法でよく用いられ、コストパフォーマンスに優れています。
屋根修理においてはよく選ばれる人気の屋根材ですね。
ガルバリウム鋼板のメリットは、やはりその軽量さ、そして軽量ならではの耐震性の高さです。
カバー工法は既存屋根の上に新しく屋根材をかぶせる工法になりますが、屋根が二重構造になります。
そのため重量のある屋根材では屋根が重たくなりすぎる危険がありますが、軽量なガルバリウム鋼板ならその心配がありません。
また屋根材単品として見ても、錆びにくく鋼板ならではの防水性・耐火性を持っています。
一方デメリットは、金属屋根ならではの遮音性の低さです。
瓦に雨が当たる音と、金属屋根に雨が当たる音を想像すると、どちらが室内に雨音が響くかはイメージしていただきやすいのではないでしょうか。
また、化粧スレートと同じく、定期的なメンテナンスとして屋根塗装が必要となります。
屋根修理における価格相場は、1㎡あたり6,000〜9,000円と比較的安価です。
屋根材としての耐用年数も20〜25年と長めなので、カバー工法をご検討中の方には特におすすめの屋根材です。
アスファルトシングルの特徴やメリット・デメリット
アスファルトシングルは、ガラス繊維にアスファルトを染み込ませ、その表面に石を吹き付けることによって作られる屋根材です。
軽量な素材の表面を加工して強度を増している、といったイメージですね。
アスファルトシングルのメリットは、ガルバリウム鋼板と同じく軽量で耐震性が高い点です。
また、表面を石でコーティングされているため錆びにくく割れにも強い、防水性・遮音性も高いです。
そして何より、アスファルトシングルにしかない独特の趣があり、デザイン性が高いのも特徴の一つです。
一方デメリットは、屋根の勾配(傾斜)が緩い屋根には向かないという点です。
屋根の勾配が緩い場合は、ガルバリウム鋼板の方が適しています。
また、屋根材自体が薄いため、台風などの強風の後は施工が不十分だと風が吹くたびにパタパタと浮いたり、最悪の場合は屋根材が破損することもあります。
他の屋根材と比べて施工に対応している業者が少なめなので、しっかり施工できる業者を選ぶ必要があるということですね。
さらに、表面に石を吹き付けているため、屋根材自体が劣化するとその石がボロボロと剥がれ落ちてくる恐れもあります。
屋根修理における価格相場は、1㎡あたり5,000〜7,000円と安価ですが、施工できる業者が多くないため、業者によっては工賃が高くなるケースもあります。
耐用年数は20〜25年程度と長めなので、屋根のデザイン性にこだわりたい方はアスファルトシングルを検討されても良いでしょう。
トタンの特徴やメリット・デメリット
トタンは亜鉛でメッキ加工された屋根材です。
というものの、近年では住宅の屋根に使用するケースはあまり無い屋根材になります。
トタンのメリットは、なんと言ってもその工事価格の安さです。
また、薄く軽量なため耐震性にも優れています。
一方デメリットが多く、その耐用年数の短さは特に大きなデメリットです。
他にも錆びやすいため定期的な屋根塗装が必須となる点や、断熱性・遮音性の低さも気になる点です。
屋根修理における価格相場は、1㎡あたり4,000〜6,000円と屋根材の中でもかなり安価になります。
しかし、耐用年数は10〜15年と屋根材としては最も短くなります。
トタンは、後々メンテナンスの必要があるのは理解した上で、「今とにかく安価で屋根修理をしたい」という方以外にはあまりおすすめできない屋根材です。
屋根材選びは、価格と耐用年数の両方で選ぼう!
上記で各種屋根材の特徴や価格、メリット・デメリットをお伝えしました。
もちろん工事価格が安いに越したことはありませんが、かといって耐用年数が短いものを選んでしまうと、短い期間でまた屋根修理が必要になってしまいます。
屋根材選びは、価格と耐用年数の両方を十分比較検討した上で選ぶようにしましょう。
コストパフォーマンスを重視するのであれば、化粧スレートかガルバリウム鋼板がおすすめです。
特にカバー工法をご検討中の方にはガルバリウム鋼板をおすすめします。
山口板金はガルバリウム鋼板の施工を得意としています。
屋根修理をご検討中で屋根材選びにお悩みの方、またガルバリウム鋼板を使用しての屋根修理をご検討中の方は、ぜひ山口板金にお声がけください。